◆ Verse 148
パーリ語原文:
Parijiṇṇamidaṁ rūpaṁ, roganīḷaṁ pabhaṅguraṁ;
Bhijjati pūtisandeho, maraṇantaṁ hi jīvitaṁ.
日本語訳:
この身体は老い衰え、病の巣となり、壊れやすい。
膿の溜まったもののようで、命とは死に向かうものである。
◆ Verse 149
パーリ語原文:
Yānimāni apatthānī, alābūn’eva sārade;
Kaṭṭhaṁva viya jhāyanti, puna n’uppatanti jantavo.
日本語訳:
秋の瓢箪のように萎びたこの身体──
朽ち木のように燃え尽き、
再び生まれ変わることはない者もいる。
◆ Verse 150
パーリ語原文:
Aṭṭhīnaṁ nagaraṁ kataṁ, maṁsalohitalepanaṁ;
Yattha jarā ca maccu ca, māno makkho ca ohito.
日本語訳:
骨でできたこの都市(身体)は、肉と血で塗り固められ、
そこに老いと死、慢心と驕りが住みついている。
◆ Verse 151
パーリ語原文:
Jīranti ve rājarathā sucittā,
atho sarīram’pi jaraṁ upeti;
Satañca dhammo na jaraṁ upeti,
santo have sabbhi pavedayanti.
日本語訳:
美しく飾られた王の車でさえ朽ちる。
ましてやこの身体は、老いを免れない。
しかし、賢者の語る真理は朽ちることがない。
聖者たちはそれを広く伝える。
◆ Verse 152
パーリ語原文:
Appassutāyaṁ puriso, balibaddhova jīrati;
Maṁsāni tassa vaḍḍhanti, paññā tassa na vaḍḍhati.
日本語訳:
学びの少ない人は、ただ年老いた牛のように老いていく。
肉体は成長しても、智慧は育たない。
◆ Verse 153
パーリ語原文:
Anekajātisaṁsāraṁ, sandhāvissaṁ anibbisaṁ;
Gahakāraṁ gavesanto, dukkhā jāti punappunaṁ.
日本語訳:
幾たびも生まれ変わりながら、
私は彷徨い続けてきた──
家を作る者(煩悩)を探し求めて。
繰り返される誕生は、まさに苦しみである。
◆ Verse 154(ブッダ成道の句)
パーリ語原文:
Gahakāraka diṭṭhosi, puna gehaṁ na kāhasi;
Sabbā te phāsukā bhaggā, gahakūṭaṁ visaṅkhataṁ;
Visaṅkhāragataṁ cittaṁ, taṇhānaṁ khayamajjhagā.
日本語訳:
家を作る者よ、見つけたぞ。
もうお前が家を建てることはない。
お前の柱はすべて壊れ、棟も崩れた。
心は形あるものを離れ、
欲望の終わりに至ったのだ。
◆ Verse 155
パーリ語原文:
Acaritvā brahmacariyaṁ, aladdhā yobbane dhanaṁ;
Jiṇṇakoñcāva jhāyanti, khīṇamaccheva pallale.
日本語訳:
若いときに修行せず、財を得ることもなければ、
老いた鷺のようにうなだれ、
池に魚の尽きたように沈んでいくだけだ。
◆ Verse 156
パーリ語原文:
Acaritvā brahmacariyaṁ, aladdhā yobbane dhanaṁ;
Senti cāpātikhīṇāva, purāṇāni anutthunaṁ.
日本語訳:
若いときに修行せず、財を得ることもなく、
老いて何も為せぬまま、
古びた矢を嘆くように、過去を悔いるのだ。
(第11章「老品」おわり)
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