◆ Verse 197
パーリ語原文:
Susukhaṁ vata jīvāma, verinesu averino;
Verinesu manussesu, viharāma averino.
日本語訳:
私たちは穏やかに生きていこう。
たとえ他者が敵意を向けてきても、私たちは敵意を抱かない。
敵意ある人々の中で、敵意なきままに暮らそう。
◆ Verse 198
パーリ語原文:
Susukhaṁ vata jīvāma, āturesu anāturā;
Āturesu manussesu, viharāma anāturā.
日本語訳:
病んだ心の人々の中で、健やかな心を保って、
私たちは穏やかに生きていこう。
◆ Verse 199
パーリ語原文:
Susukhaṁ vata jīvāma, ussukesu anussukā;
Ussukesu manussesu, viharāma anussukā.
日本語訳:
あくせくした人々の中で、落ち着いて暮らし、
私たちは静けさの中で安らかに生きよう。
◆ Verse 200
パーリ語原文:
Susukhaṁ vata jīvāma, yesaṁ no natthi kiñcanaṁ;
Pītibhakkhā bhavissāma, devā ābhassarā yathā.
日本語訳:
何ものにも執着しない私たちは、穏やかに生きよう。
歓喜を糧として生きる者となろう。
まるで光り輝く神々(アーヴァッサラ天)のように。
◆ Verse 201
パーリ語原文:
Jayaṁ veraṁ pasavati, dukkhaṁ seti parājito;
Upasanto sukhaṁ seti, hitvā jayaparājayaṁ.
日本語訳:
勝とうとすれば憎しみが生まれ、
負ければ苦しみに沈む。
だが、勝ち負けを超えた者は、
静けさの中に安らかに暮らす。
◆ Verse 202
パーリ語原文:
Natthi rāgasamo aggi, natthi dosasamo kali;
Natthi khandhasamā dukkhā, natthi santiparaṁ sukhaṁ.
日本語訳:
欲の炎ほど燃えるものはなく、
怒りほど害をなすものもない。
五蘊ほど苦しみを生むものはなく、
静けさにまさる幸福はない。
◆ Verse 203
パーリ語原文:
Jighacchāparamā rogā, saṅkhāraparamā dukhā;
Etaṁ ñatvā yathābhūtaṁ, nibbānaṁ paramaṁ sukhaṁ.
日本語訳:
飢えは最大の病であり、
形成されたもの(諸行)は最大の苦である。
それを正しく知った者にとって、
涅槃こそが最上の安らぎである。
◆ Verse 204
パーリ語原文:
Ārogyaparamā lābhā, santuṭṭhiparamaṁ dhanaṁ;
Vissāsaparamā ñāti, nibbānaṁ paramaṁ sukhaṁ.
日本語訳:
健康は最上の財であり、
満足は最大の富、
信頼は最上の親族、
そして涅槃こそが究極の幸福である。
◆ Verse 205
パーリ語原文:
Pavivekarasaṁ pitvā, rasaṁ upasamassa ca;
Niddaro hoti nippāpo, dhammapītirasaṁ pivaṁ.
日本語訳:
静寂の味、静けさの味を味わい、
法の喜びを味わう者は、
怠ることなく、罪からも離れている。
◆ Verse 206
パーリ語原文:
Sāhu dassanamariyānaṁ, sannivāso sadā sukho;
Adassanena bālānaṁ, niccameva sukhī siyā.
日本語訳:
聖者に会えることは幸せであり、
彼らとともに暮らすことは常に幸福である。
愚者に会わないこともまた、常に幸せである。
◆ Verse 207
パーリ語原文:
Bālasaṅgatacārī hi, dīghamaddhāna socati;
Dukkho bālehi saṁvāso, amitten’eva sabbadā;
Dhīro ca sukhasaṁvāso, ñātīnaṁva samāgamo.
日本語訳:
愚か者とつきあえば、長い間苦しむことになる。
愚者との交わりは、いつも敵といるようなもの。
賢者との交わりは、まるで親しい者との再会のように幸福である。
◆ Verse 208
パーリ語原文:
Tasmā hi dhīrañca paññañca, bahussutañca dhorayhaṁ;
Nikkhaṁ ca sīlavantañca, taṁ tādisaṁ bhajetha nacassamaṁ care.
日本語訳:
だからこそ、賢く、智慧があり、
学び多く、しっかりとした人物で、
清らかな徳を備えた者──
そのような人と交わり、
愚かな者とはつきあわぬようにしよう。
(第15章「楽品」おわり)
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